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●新日曜美術館 「版画家・谷中安規」 〜風船画伯の東京漂流記〜


異色の版画家・谷中安規(1897〜1946)。
彼が描くのは、現実とも幻ともつかぬ世界である。日常の風景に忍び込んだ幻想だ。
安規は東京を愛した。この街には何でもある。空には月と飛行船が浮かび、ネオンも瞬く。
彼は東京中を放浪し、知人の家に居候する生活を10年近く続けた。本郷の高橋新吉、
滝野川の室生犀星、堀口大学や北原白秋のもとにも転がり込んだ。とりわけ佐藤春夫、
内田百閧ニは親交を深め、百閧ヘ夢と現の狭間をいつも浮遊しているような安規の人柄を
「風船画伯」と呼んだ。詩人や文学者との交わりの中で、安規の作品は昭和初期の
モダニズムの影響を色濃く受けた。浅草の盛り場や銀座のシネマをモチーフにした作品は
昭和初期のモダン都市・東京と安規の幻想が縦横に綾なすアンキ・ワールドである。
安規は奈良の庄屋の息子として生まれた。早くに母を失い、継母に疎んじられて育った。
父親は洋品店や炭屋などさまざまな事業に手を出しては失敗した。父は長男の安規に
度々店を継ぐことを迫ったが、安規は金庫の金をすべて持ち出し登楼して反抗した。
この父との確執は安規の心に暗い影を落とす。居候を続ける安規の生き方は一見気ままだが、
心の内にはさまざまな葛藤が渦巻いていた。その心象を安規は版木に吐き出す。
作品に何度も登場する空を漂う飛行船や、踊る影法師は安規自身である。
空中を自由気ままに漂う安規。困難な現実に心をかき乱され踊り狂う安規。所帯も持たず、
ボロをまとい、生米をかじりながらひたすら絵を描き、板に彫った。
ここ数年の調査で、安規が居候した家や作品のモチーフになった風景、そして昭和21年に
餓死した場所が特定され、これまで謎の多かった安規の生きざまが明らかになった。
木版画や装幀の作品300点以上を集めた大きな展覧会も開かれる。
番組では今回明らかになった安規の東京での足跡を評論家の川本三郎氏と共に訪ね、
知られざる谷中安規を発見するとともに、彼の姉弟や、安規研究家の版画家・大野雅司氏の
証言を交えながら、その幻想の世界を明らかにしていく。
(text from NHK site)

NHK教育 45min 2004-01-18 Air ckeck by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo (MPEG-1)













 

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