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●10min.ボックス 「日本史 室町時代」


鎌倉幕府の崩壊、建武新政、室町幕府の成立、南北朝の動乱と
14世紀は目まぐるしく変化した時代です。14世紀末、室町幕府は全盛期を迎えましたが、
幕府の権力は16世紀後半の滅亡まで、その存続期間のほとんどが弱体でした。
特に応仁の乱を契機に戦国時代を迎えます。「下克上」の時代といわれる室町時代を考えます。

(1) 室町幕府の成立
1333年5月、近江国蓮華寺で六波羅探題北条仲時らが自刃した。その2週間後、
鎌倉東勝寺で北条高時らが後を追う。ここに鎌倉幕府は滅亡し、後醍醐天皇の新政が始まった。
だが建武政府は短命だった。後醍醐天皇と対立した足利尊氏は京都に幕府を開いた。
南北朝に分裂した。しかも幕府内部の対立も起こり、半世紀以上に及ぶ動乱の時代が続いた。
鎌倉時代、武士は土地に対する支配権を次第に強めていた。悪党と呼ばれる、幕府や
荘園領主に反抗する勢力が現れた。守護も権限を拡大し、守護領国制に向かっていた。
尊氏、義詮<よしあきら>の二代の将軍は戦いに明け暮れた。有力守護大名を押さえ、
かつ南北朝合体に成功したのは三代将軍義満だった。京都北小路室町に壮麗な花の御所を開き、
北山山荘(金閣)を造営した。明からは「日本国王」の称号を得た。「室町」の幕府は全盛を迎えた。

(2) 勘合貿易 〜東アジアの中の中世〜
「日本国王」の称号を足利義満は明から得た。明の冊封<さくほう/さっぽう>体制下で行う
朝貢貿易は巨大な利益を約束する。貿易船は倭寇と区別するため勘合符を利用した。
こうして勘合貿易が始まった。15世紀初頭から16世紀半ばまで17回、80隻余が送られた。
日本からは刀剣・扇・屏風など、明からは銅銭・陶磁器・絹織物・書画などが運ばれた。
幕府権力の衰退とともに、貿易船の派遣は堺商人と結ぶ細川氏と、博多商人と結ぶ大内氏が
争うが大内氏が独占した。その大内氏の滅亡とともに日明貿易は終わりを告げた。
朝鮮、琉球との貿易も盛んだった。朝鮮の三浦<さんぽ>には倭館が置かれていた。
琉球は中継貿易で繁栄した。朝鮮、琉球ともに明の冊封体制に入っていた。明を中心とする
秩序の中、様々な夢や野望を載せ、各国の船が東南アジア・東アジアの海を往来していた。

(3) 民衆の時代
「何せうぞ くすんで(まじめくさって) 一期は夢よ ただ狂へ」(閑吟集/かんぎんしゅう)。
「閑吟集」は1518年成立。小歌を中心に全311首。そこには人間臭さがあふれている。
次第に衰え行く幕府権力。だが、そうした時代にこそ人々は自由奔放に、エネルギッシュに生きていた。
室町時代は民衆の時代でもあった。武士が京都を焼き尽した応仁の乱。復興したのは町衆たち。
一方、地方には惣村が現れた。寄合で決めた惣掟に従い村を自治的に運営した。
その背景には生産力の向上、金融業、商工業の発達などがある。肥料が普及し、
二毛作(時には三毛作)が展開した。各地には特産品が生まれていた。こうした中で相次いだ
土一揆、国一揆、一向一揆…。このような民衆の動向は、支配層には「亡国の基<もとい>」と
映っていた。社会は大きく揺れ動いていた。

(4) 応仁の乱
1467年1月、京都・上御霊神社で畠山氏の戦闘が発生した。以来11年に及ぶ
応仁の乱の幕開けだった。将軍家、三管領の畠山・斯波両氏の後継者問題は終わりの見えぬ
戦いに突入した。これ以前、六代将軍義教が暗殺された嘉吉の乱、関東の永享の乱など
幕府体制を動揺させる事態が起こっていた。そして、応仁の乱。八代将軍義政は無力だった。
この長い戦乱の中で、荘園制が崩れて行った。国人勢力が拡大した。越前では国人出身の
守護朝倉氏が登場した。山城では乱の終結後も戦う畠山氏を国人・農民が退去させた。
荘園制の崩壊で貴族は収入を失った。元関白一条教房は土佐の荘園支配のため自ら下向した。
戦乱中、都を離れた公家や僧侶によって地方に文化が伝わった。
応仁の乱は社会を大きく変える節目となった。世は戦国時代を迎えた。

(5) 室町時代の文化 〜北山文化と東山文化〜
幕府全盛期の将軍は三代・義満。その北山山荘(鹿苑寺金閣)にちなむ北山文化。
幕府の権威を失墜した応仁の乱。その八代将軍義政の東山山荘(慈照寺銀閣)にちなむ
東山文化。室町時代は政治的にも経済的にも武家が公家を圧倒した。文化においても、
武家文化が伝統的公家文化と融合し、そこに日明貿易などによる国際的要素、幕府に
保護された禅宗(臨済宗)的要素、そして民衆的要素も加味されて独特の文化が形成された。
五山文学、建築、庭園、水墨画(雪舟)、土佐派、狩野派、能楽(観阿弥、世阿弥)、狂言、
連歌、有職故実<ゆうそくこじつ>(一条兼良)、古今伝授、御伽草子、華道(池坊)、茶道…、
実に枚挙にいとまがない。今日、日本の伝統文化を考える時、その多くがここにたどり着く。
我々の文化の直接的源流ともなっている。
(text from NHK site)

NHK教育 10min×5 2005-06-20〜07-01の再放送分
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