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●わたしの藤沢周平 (1)



◎第1回 江夏豊の「蝉しぐれ」
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腕一本、野球界で勝負してきた江夏豊さんにとって、逆境のときいつも心に鳴り響いていたのは、「蝉しぐれ」の主人公、牧文四郎の青春を振り返るつぶやく言葉でした。淡い初恋、そして懐かしい友との熱き友情。「蝉しぐれ」の青春物語は、甲子園を目指し、ただひたすら白球を追った江夏豊さんの高校時代の3年と重なります。

江夏豊(エナツユタカ)さん / 1948年生 野球評論家
1966年・阪神タイガースから第一位指名され、プロ野球選手となる。その後、南海ホークス、広島東洋カープへ移籍。広島在籍中の3年間に2度、チームを日本一に導き、「優勝請負人」と言われる。スポーツノンフィクション作家による、1979年の日本シリーズでの「江夏の21球」は長年に渡り、語り継がれている名場面として有名。さらに、日本ハムファイターズ、西武ライオンズで活躍。1985年引退までの現役生活18年に、通算成績206勝158敗193セーブをあげ、「伝説の左腕」の異名もある。

「蝉しぐれ」
山形県荘内地方がモデルといわれる、架空の小さな藩が舞台です。ある夏の日、少年文四郎は突然父を失い、以後、過酷な運命に翻弄されていきます。それを支えたのは剣道仲間の与之助と逸平の友情。文四郎が幼なじみ・おふくとの淡い恋は思わぬ方向へと・・・。(文春文庫『蝉しぐれ』所収)
(text from NHK site)

ノイズなし(ナレに音声ノイズ入る場合あり)
BS2 10min 2007-01-09 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo

> GP-1187 にもあり





◎第3回 立木義浩の「江戸おんな絵姿十二景」
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女性写真の第一人者の立木さんは、藤沢周平の女性像の書き分け方、女性にくわしいその部分に、藤沢の風貌から想像もつかない不思議さを感じてます。「江戸おんな絵姿十二景」は江戸時代の浮世絵に題材をとった12の物語が集められています。登場する12人の女性像を通し、カメラマンとして普段から持っていなければならない眼差しと、きっちりものを見ることの大事さを痛感します。

立木義浩(タツキヨシヒロ)さん / 1937年生 写真家
NHK朝の連続テレビ小説「なっちゃんの写真館」のモデルとなった、営業写真館に生まれる。1958年、東京写真短期大学(現・東京工芸大学)卒業後、カメラマンとして、アドセンター設立と同時に参加。1969年フリーとなり、新進気鋭の写真家として脚光を浴びる。女性写真の分野で、第一人者として多くの作品を発表する一方、広告・雑誌・出版・写真集・映像・個展・後進指導など、幅広いジャンルで精力的に活動を展開中。写真集に「東寺」、「里山の肖像」、「火火」、「風の写心気」他多数。

「江戸おんな絵姿十二景」
『明鳥』落語や新内でもおなじみの廓話です。吉原の花魁播磨にひとめぼれした新兵衛は、家も商売も省みず、播磨に入れあげていました。でも、ついに借金で首がまわらなくなり、とうとう別れのときがやってきました・・・。(文春文庫『日暮れ竹河岸』所収)
(text from NHK site)

ノイズなし(ナレに音声ノイズ入る場合あり)
BS2 10min 2007-01-23 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo

> GP-1246 にもあり





◎第4回 小室等の「山桜」
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小室等さんにとって自らが歌う歌はすべてラブソング、還暦を過ぎた今も恋を歌い続けます。藤沢作品を読むたびに、文章から流れ出る音楽的なもの、息継ぎ感を快感に思っています。「山桜」は美しい北国の春の描写から始まる男女の恋の物語。かつては縁談の話があった2人ではありながら、別々の人生を辿り、桜の季節に再会します。小説の核となる現実の人生とやり直せる可能性を秘めた別の人生について、小室さん自身の今後の人生論が温かく語られます。

小室等(コムロヒトシ)さん / 1943年生 音楽家
高校時代「キングストントリオ」の歌に感銘し音楽を始めます。1961年に自らも感銘を受けたグループのスタイルでのグループ結成。その後フォークグループを結成。「六文銭」を経て、ソロ活動を開始。1972年、第2回世界歌謡祭にて、「出発の歌」(上條恒彦と六文銭)で、グランプリを獲得。1975年、泉谷しげるさん、井上陽水さん、吉田拓郎さんと「フォーライフレコード」を設立しました。これまで、谷川俊太郎さん他、多くの詩人、アーティストと音楽活動を続けながら、ドラマ、映画、演劇へ音楽を提供するなど、幅広く活動を続けています。現在は、ソロ・コンサートを中心に、さまざまなジャンルのミュージシャンとジョイントを行っています。コンサート・プロデュースなど多数。

「山桜」
北国の小藩、海坂を舞台にした武家ものの短編小説です。夫との関係が思うようにいっていない野江は叔母の墓参りをした帰り道で、ふと山桜を見つけます。そこに現れたのは、かつて縁談を断った武士、手塚弥一郎でした。弥一郎がずっと思いを寄せていることを知り、野江の心に変化が訪れ・・・。(新潮文庫『時雨みち』所収)
(text from NHK site)

ノイズなし(ナレに音声ノイズ入る場合あり)
BS2 10min 2007-01-30 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo





◎第6回 三遊亭圓窓の「父(ちゃん)と呼べ」
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東京深川生まれの三遊亭圓窓さんは、藤沢作品の中でも人情話が大好き。以前友人の演出家が芝居にしたこの作品に出演して以来、この作品の虜になる。永年にわたり、自身の創作落語したいといった夢を持ち続けている。主人公(徳五郎)が関わる子ども(寅太)が古典落語に登場するパターンとは違うからだ。本当の家族ではないが、仲のいい長屋の暮らしぶりや、父(ちゃん)と呼んでもらうために努力する人情味あふれる人間模様、落語のような主人公夫婦の会話などが温かい作品。生前、藤沢自身が娘の展子さんの夫、正さんから借りて聞いた落語のテープや愛用のラジカセに、藤沢世界を豊かなものにした痕跡がうかがい知れる。

三遊亭圓窓(サンユウテイエンソウ)さん / 1940年生 落語家
古典落語はもとより、民話などを題材とした創作落語や、趣味のひとつであるパソコンを利用した通信落語など、幅広い活動をされている。自身のブログには、落語家は嫌いだが、落語が大好きなので落語家になった変わり者と称している。さらに、落語は演るよりも聞くほうが大好きと付け加えている。1969年真打昇進して、6代目三遊亭圓窓を襲名する。1973年から2001年にかけて圓窓五百噺を達成する。三ツ組橘の紋入りの羽織に、出囃子の新曲浦島であがる高座では、「落語のよいもの」に近づければと願いを込めてさらに活躍中。

「父(ちゃん)と呼べ」
大工の徳五郎は、ふとしたことから小さな子供と出会います。父親はひったくりにしくじって番所に 突き出され、母親はとうに家族を見捨てて行方知れず。見かねた徳五郎と女房のお吉は子供を引き取り、長屋で三人の暮らしが始まり……。(文春文庫『闇の梯子』所収)
(text from NHK site)

ノイズなし(ナレに音声ノイズ入る場合あり)
BS2 10min 2007-02-13 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo





◎第8回 縄田一男の「驟り雨」
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縄田さんは、雨宿りをする盗人がさまざまな人物に出会い、変化する心の様子を、芥川龍之介の「羅生門」に例えて推測する。雨が降るということがなければ無かった偶然と出会いが、雨の描写とともに巧みな展開をみせる作品。藤沢が生前好きだった一枚の色紙に書かれた老子の言葉に登場する「驟雨」から本の題名が命名されたという。縄田さんは文芸評論という専門分野の視点から、藤沢が最初の奥さんを亡くしたときのことが書かれているか所を指摘する。作品を通じて藤沢の魂がだんだんと暗い場所から明るい場所へと這い上がったことを、この小説に託したのではないかと推論する。

縄田一男(ナワタカズオ)さん / 1958年生 文芸評論家
専修大学大学院文学研究科博士課程修了。中学生の頃から時代小説を読み始める。1991年「時代小説の読みどころ」にて中村星湖文学賞、1995年「捕物帳の系譜」にて大衆文学研究賞を受賞。歴史・時代小説を中心とした文学活動で活躍する一方で、純文学からエンターテインメントまで幅広く網羅する。小説以外には映画も好きでビデオやDVDを合わせると2万本を越える。著書に「ぼくらが惚れた時代小説」(山本一力、児玉清と共著)「時代小説の楽しみ」「忠臣蔵傑作集」など多くのアンソロジーの編集に携わる。

「驟り雨」
主人公嘉吉は、研ぎ職人をしながら盗みに入る家を物色する盗っ人。悪い血が騒ぎたすと、人をも刺しかねない という自覚もあります。盗みに入る前には、金の在り処など入念に調べあげ、出入り口にも細工を施し……。 (新潮文庫『驟り雨』所収)
(text from NHK site)

ノイズなし(ナレに音声ノイズ入る場合あり)
BS2 10min 2007-02-27 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo





◎第9回 中村メイコの「時雨みち」
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中村さんは、どこにでもいそうな庶民の影、せつない思い出などを描く、藤沢の作風が好きだと言います。幼いころから、映画やラジオ、テレビと華やかな芸能界で活躍してきた中村さんにとって「庶民の普通の生活」は、いつもあこがれといいます。結婚後、半分普通の生活がはじまり、実践してみると、普通ほど難しいことを実感。中村さんは、作家生活と普通の庶民生活を営んでいた藤沢も、大変な難しさと戦っていたのではと推測します。

中村メイコ(ナカムラメイコ)さん / 1934年生 女優
2歳でエノケン主演映画「江戸ッ子健ちゃん」のフクちゃん役でデビュー。以後、天才子役といわれ活動を開始。NHKラジオ「ジロリンタン物語」「お姉さんといっしょ」などに出演、“七色の声”の持ち主と呼ばれる。「田舎のバス」では歌手としてヒット曲を持つ。1940年、NHKが実験放送したテレビドラマ「謡と代用品」で初出演以来、NHK連続テレビ小説、司会、公開番組など多岐にわたり出演。舞台では、芸術座「阿修羅のごとく」明治座「ねずみ小僧危機一髪!!」などで活躍し、喜劇的演技のすぐれた才能が高く評価され、2005年第26回松尾芸能賞優秀賞受賞。芸能活動でマルチタレント振りをも発揮する一方、エッセイストとして著書も多い。2000年、「夫とふたりきり!」で第20回日本文芸大賞エッセイ奨励賞受賞。夫は作曲家神津善行、長女は作家神津カンナ、二女は女優神津はづき、長男は画家神津善之介、まさに芸能、芸術一家。

「時雨みち」
主人公、新右衛門(しんえもん)には苦い過去がありました。
20年前、新右衛門は麻や綿織物を扱う問屋で、助次郎という名で働いていました。その時同じ店の女中、おひさと秘かに好き合うようになり、おひさは子を身籠ってしまいます。しかし、大店の機屋(はたや)の主人に見込まれていた新右衛門は、婿入り話に心が揺れ、迷ったあげくにおひさを見捨てることを決意します。新右衛門はおひさに子どもをあきらめさせ別れ話を切り出し……。(新潮文庫『時雨みち』所収)
(text from NHK site)

ノイズなし(ナレに音声ノイズ入る場合あり)
BS2 10min 2007-03-06 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo





◎第10回 篠田三郎の「泣かない女」
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篠田さんは、藤沢周平原作のテレビドラマに出演したことがきっかけで、作品を読むようになりました。直接に会ったことも強い印象として残っているといいます。藤沢作品は移動する乗り物の中で読むことが多く、読んだあと心が洗われるそうです。登場人物が江戸の庶民など何処にでもいるような人に、光をあてて皆それぞれにドラマがあり、いとしさ、けなげさ、いじらしさが詰まっているところに良さがあると語ります。

篠田三郎(シノダサブロウ)さん / 1948年生 俳優
1965年日大二高2年の時に、大映第18期ニューフェイスとして合格。1966年大映東京撮影所に入社、映画「雁」でデビュー。端整な容貌がさわやかな好青年の印象で、正統派二枚目俳優として活躍。「高校生心中・純愛」など関根(現・高橋)恵子さんとの共演による純愛路線で脚光をあびる。1971年からはテレビへと活動の場を広げる。NHK「天下堂々」から1974年のテレビ人気シリーズ「ウルトラマンタロウ」の光太郎役などで幅広い層の人気を得る。その後も1982年NHK時代劇「立花登青春手控え」1990年「京、ふたり」NHKテレビ小説、1992年「信長」1996年「秀吉」でNHK大河ドラマに出演。テレビや映画の他にも、舞台や朗読会など、さわやかな個性で数々の作品の役を演じ活躍中。

「泣かない女」
主人公道蔵は、かんざしの職人として山藤という店に長年奉公してきました。一番の気がかりは、亭主が死亡したため実家に戻ってきたお柳という親方の娘。妖艶なお柳は道蔵の憧れですが、彼には既にお才という足の悪い妻がいます。もうひとつは、他の店から引き抜かれてきた忠助という腕のいい職人。親方は、忠助とお柳を夫婦にしようとしています。そんなある日道蔵はお柳に呼び出され…。 (新潮文庫『驟り雨』所収)
(text from NHK site)

ノイズなし(ナレに音声ノイズ入る場合あり)
BS2 10min 2007-03-13 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo





◎第12回 冨士眞奈美の「又蔵の火」
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冨士さんは、凄惨な仇討ちの物語に衝撃を受けます。今から2000年ほど前に藤沢の故郷・鶴岡で実際に起きた事件を題材に描かれた歴史小説。物語に流れる荒廃の美。それでいて登場人物ひとりひとりに対する、藤沢の愛情を冨士さんは感じとり熱く語ります。

冨士眞奈美(フジマナミ)さん
1957年NHKテレビ専属となり「この瞳」で主演を務める。当時冨士さんは、小林千登勢さん、馬渕晴子さんとともにNHK三人娘と呼ばれた。その後、俳優座付属養成所9期生を卒業し、1970年のテレビ「細うで繁盛記」の小姑役は代表作となる。「かよ!犬にくわすメシはあってもにゃ、おみゃにくわすメシはにゃずらよ!」のセリフは印象的でテレビ大賞を受賞。テレビや映画の女優業とともに著述業もこなし、まさに多芸多才をしめす。著書「恋よ、恋唄」「ろくでなし」「身ひとつの今が倖せ」「ここはどこ(岸田今日子・吉行和子共著)」「わたしはだれ?(岸田今日子・吉行和子共著)」など多数。

「又蔵の火」
荘内藩士・土屋久右衛門の子として生まれた、兄万次郎と、弟の虎松・後の又蔵。万次郎は16、7になった頃、素行が乱れ放蕩者となってしまいます。一方の弟虎松は、医者を目指す実直な少年でした。ある日、虎松は、遊郭に兄の万次郎を探しに行きます。そこで万次郎から自分に代わって土屋家の家督を継ぐことを薦められ…。 (文春文庫『又蔵の火』所収)
(text from NHK site)

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BS2 10min 2007-03-27 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo

> GP-1242 にもあり





◎第13回 佐藤江梨子の「雪明かり」
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20歳代のとき、時代劇に出演した稽古場で藤沢作品と出会ったという佐藤さん。藤沢作品には木の根っこの匂い、日本っぽい匂いを感じると語る。今の日本に足りないものが伝わる。「雪明かり」には、感情移入ができ、登場人物と境遇は違うものの、近いものを感じるという。作品を読む中で浮遊感に包まれ、とても不思議な感覚になる。自らの仕事を振り返り、心から芝居をしたいと女優魂に火をつける作品と語る。

佐藤江梨子(サトウエリコ)さん / 1981年生 タレント・女優
2003年「プレイガール」で映画初主演。翌2004年大ヒットアニメの実写版映画「キューティーハニー」でも主演を務める。舞台、映画の他、雑誌のグラビア、CM、テレビのドラマなどで活躍。その一方、2003年に初のエッセイ&詩集「気遣い喫茶」を出版。また、2006年からは月刊誌で連載ページを持つ才女ぶりを発揮。あどけない顔立ちと持ち前の長身と抜群のスタイルから、2003年ベストジーニスト、2004年日本メガネベストドレッサー賞の特別賞、2005年美脚大賞、2006年ベストレザーニストなど数々の賞を手にする。今年は主演映画「口裂け女」に続き、初夏に公開を控える「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」でも主演を努め、12月に公開予定の映画「銀色のシーズン」にも出演している。サトエリのニックネームで幅広いファン層から支援され、人気注目されている。

「雪明かり」
下級武士から名家の養子に入った菊四郎は、嫁入りが決まった義理の妹の由乃(よしの)と、ある雪の日に偶然再会します。すっかり大人っぽくなった由乃に驚きながらも、菊四郎は、兄として祝福をします。やがて菊四郎は、由乃が結婚後大病を患い寝込んでいると聞き、見舞いに行くのですが、嫁ぎ先の母親に頑なに拒まれます。問答の末、由乃のいる三畳間へ押し入り…。(新潮文庫『時雨のあと』、講談社文庫『雪明かり』所収)
(text from NHK site)

ノイズなし(ナレに音声ノイズ入る場合あり)
BS2 10min 2007-04-08(2007-04-03の再放送)
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◎第14回 黒土三男の「用心棒日月抄」
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藤沢作品の中では非常に珍しく、痛快活劇だと称する黒土さん。しかもユーモアに満ち、人間くさい話と付け加える。主人公の青江又八郎が、地方出身者で江戸を見る構図と藤沢自身、地方出身者で東京を見る構図は、自分の経験から、青江又八郎を浮かびあがらせて紡ぎだした気がしてならないと語る。藤沢自身がどこかで経験したもの、青江又八郎の女への思い、底辺の人間に対する哀歓、それにこだわって書いていると推測する。藤沢作品に共感する理由に、時代小説を書いているけど、現代の日本人を書いている点や、現代の日本はこうありたい、今の世の中に対する希望を込めて書いている点を指摘する。

黒土三男(クロツチミツオ)さん / 1947年生 映画監督
立教大学法学部に在学中テレビ局で演出助手のアルバイトを始め、木下恵介監督に師事する。業界誌記者などを経て、1979年民放「コメットさん」で脚本家デビュー。1984年「オレゴンから愛」の脚本で注目される。1987年「とんぼ」「うさぎの休日」といった話題作を送り出し、第7回向田邦子賞を受賞し脚本家の地位を確立する。もともと映画監督志望であり、木下恵介監督以外でも、山田洋次監督に師事。1989年「オルゴール」で念願の映画監督デビュー。2作目の「渋滞」はニューヨーク映画祭に出品、オープニング上映となりニューヨークタイムズで絶賛され、世界で評価された。1990年藤沢周平の小説「蝉しぐれ」に感動し映画化を申請。2003年NHK金曜時代劇では、脚本を担当。2005年「蝉しぐれ」を映画監督として映画化し話題になった。

「用心棒日月抄」
主人公の青江又八郎は北国の小藩の武士でしたが、ある時、藩主毒殺の陰謀を知ってしまい、やむなく許婚(いいなずけ)の父を斬り、脱藩して江戸に逃げます。得意の剣術の腕を生かし、用心棒の仕事を引き受けては何とか食いつなぐ毎日ですが、いつも仕事があるわけではありません…。(新潮文庫『用心棒日月抄』所収)
(text from NHK site)

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BS2 10min 2007-04-10 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo





◎第16回 日色ともゑの「意気地なし」
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女優の日色さんは、「意気地なし」の主人公おてつを、芝居で演じてきた。芝居を重ねるにつれ、藤沢作品に描かれる江戸の女性たちの魅力を感じるという。控えめに、半歩下がっているようで自分の生き方を貫く強さが秘められていると語る。精一杯生きたから後悔はしない、そんなすがすがしい感じがあるという。短い藤沢作品の中に、下町の人たちの人情も感じ、素敵だと語る。作品を読んで、優しい気持ちになれるともいう。

日色ともゑ(ヒイロトモエ)さん / 女優
1960年「芝居を通じて社会にメッセージを伝えたい」という志しから、劇団民藝俳優教室に入所し女優をめざす。1967年NHK連続テレビ小説「旅路」でヒロインを好演、一躍お茶の間の人気ものになる。雑誌芸能記者クラブ主催のゴールデン・アロー賞を獲得する。1978年「おていちゃん」でテレビ大賞を受賞。近年の舞台に「深川暮色」「明石原人」「浅草物語」「日本の面影」「沖縄」。その後も舞台とテレビで活躍中。 また、著書に「さわやか対談」「じゃがいも父さん」「宇野重吉一座最後の旅日記」など多数。

「意気地なし」
腕も良く格好もいい大工の作次との祝言が待ち遠しいおてつ。同じ長屋に住む、乳呑児を残して女房に先立たれた男やもめの伊作は、おてつにとって「じじむさいだけの男」でした。 ただ、長屋の住人として、一日中泣いている赤ん坊のおけいのことは可哀相に思っていました。ある日おてつは、あまりの泣き声に、伊作の部屋の戸を開けてしまいます…。(新潮文庫『時雨のあと』所収)
(text from NHK site)

ノイズなし(ナレに音声ノイズ入る場合あり)
BS2 10min 2007-04-24 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo











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