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●未来への教室 「ディック・ブルーナ」

(1) 幸せを運ぶ絵本

世界中の子どもたちから愛されている小さなうさぎの女の子「ミッフィー」。その生みの親、絵本作家のディック・ブルーナさん(74歳)の特別授業は、オランダ、ユトレヒトで行われました。地元の小学校に通う11歳から12歳の6人の子どもたちが、参加しました。1回目の授業のテーマは、ブルーナさんがどんな思いを込めて絵本を作っているのかです。授業の舞台は、ブルーナさんの作品展示室がある、セントラルミュージアム。“ミッフィーがどのようにして生まれたのか”ブルーナさんは話し始めました。それは、まだ幼かった長男のために考えた物語がきっかけでした。以来、ブルーナさんはいつも身の回りのことから、絵本のヒントを得ています。さらに、簡略化したデザインや単純な色使いが特徴的なブルーナさんの作風の裏には、色彩の魔術師とうたわれた画家アンリ・マティスから大きな影響を受けていることも明かしてくれました。次にブルーナさんは、一冊の本を取り出しました。10代半ばの時に大人向けに書いた未発表の小説です。その当時、オランダは第二次世界大戦に巻き込まれ、ナチス・ドイツに占領されていました。物語は、戦時下で味わった辛い体験が元となりました。主人公の少年は、次々と不幸な目に遭いますが、結末はハッピーエンドで締めくくられています。「占領下時代は辛い体験だったけれど、状況は良くなるという希望があった。そんな希望を、ハッピーエンドという形で表したんだ」実はブルーナさんの絵本は、どの物語もハッピーエンドで終わっています。その原点になったのが、戦争中の辛い体験だったのです。最後にブルーナさんは、死という重いテーマを扱った絵本「ミッフィーのおばあちゃん」の結末を子どもたちに考えさせ、“人生にはいつも続きがある。たとえどんなに悲しいことや辛いことがあっても乗り越えて欲しい”と語りかけました。「僕はいつも、物語の終わりをハッピーエンドにしようと考えているんだ。例え、「死 」がテーマでもそう終わらせたかった。だから、僕は「ミッフィーのおばあちゃん」という絵本でも、ミッフィーがいつものようにお墓へ出掛け、手入れをするようにしたんだ。僕には一人娘がいるんだが、昔、とても大好きだったおじさんがいたんだよ。そして、ある時そのおじさんが死んでしまったんだ。僕の娘もミッフィーと同じことをした。その人が葬られた後、よくお墓参りに行ったのだよ。そして、花を植え、水をやり、綺麗に手入れをしていた。もし、君たちの家族が亡くなったとしても、次の日からはご飯も食べるし、学校にもでかけるわけだ。つまり、僕たちは、普通に人生を生き続けるんだ。だから、この本で僕が伝えたかったのは、物事には常に先がある、どんな時でも、人生にはいつも続きがあるということを言いたかったんだ。」

(2) ミッフィー 人気の秘密

2回目の授業では、たくさんの子どもたちの心をとらえて離さない、ミッフィーの人気の秘密を解き明かしていきました。授業は、ブルーナさん行きつけのカフェで始まりました。その授業に先立って、子どもたちには“自分の好きな本の表紙をデザインしてくる”という宿題が出されていました。ブルーナさんは、絵本作家になる前、2000冊を越える本の装丁を手がけた経歴があります。子どもたちの作品を見ながら、想像力をかき立てるために余白を残すことや目立つデザインの大切さを教えました。続いてブルーナさんは、子どもたちと自分のアトリエに向いました。ブルーナさんは、このアトリエで絵本の全てをたった一人で描きあげています。時には100枚以上になる下絵作り。独自に生みだした6色だけの色紙を、絵に合わせて切り抜いて行う色合わせ。そして、真正面に限定した登場人物の姿勢や簡略化した構図へのこだわり。単純な絵柄からは想像できない、ブルーナさんの妥協しない仕事ぶりに、子どもたちは驚きました。そんな子どもたちに、ブルーナさんはカレンダーを作ってみようと提案しました。季節感をどうやって出すのか、何をモチーフにするのか。子どもたちは頭を悩ませながら、素敵なカレンダーを仕上げました。表紙には、ブルーナさんが用意していたミッフィーの絵が貼り付けられました。「君たちにはこれからも絵や物語を描いてほしい。それは職業にならなくてもいいんだ。描くことが君たちの役に立つと思う」ブルーナさんは、授業の最後に自分の思いを子どもたちに伝えました。
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ディック・ブルーナ|1927年 オランダ生まれ。あなたは、うさぎのミッフィーちゃんを知っていますか? オランダの絵本作家ディック・ブルーナさんが1955年に描き始めた、絵本シリーズの主人公です。暖かな手書きの線、鮮やかな色使い、見る人の想像力に訴えるシンプルで大胆な構成の作品は、オランダの子どもたちにも大人気です。ブルーナさんが暮らしているのは、首都のアムステルダムから車で1時間ほどのユトレヒトという街です。自宅からアトリエまでの通勤は自転車。自分のペースを守りながら、一冊でも多くの絵本を描くために、地道に創作活動を続けてきました。ブルーナさんは、構想段階から絵を描いて文章を生み出すまで、という絵本作りの全行程をたった一人で行っています。3ヶ月に1冊のペースで出版している絵本は、すでに100冊を超えました。また、絵本の創作活動以外にも、ユニセフや赤十字、動物愛護など社会活動のポスターのデザインなども手がけている、忙しい毎日を送っています。ブルーナさんは、出版社を経営する父の元で、幼い頃から大好きな絵本に囲まれて育ちました。ところが、そんな幸せな暮らしが一変したのは、中学生の頃のことです。オランダがナチス・ドイツに占領されてしまったのです。ブルーナさんは、ナチスの強制労働を免れるために隠れ家に身を潜め、独学で絵を学び続けました。そして戦後、出版社を継がせたいと考えていた父親の反対を押し切って、ブルーナさんは絵本作家として生きる決心を固めたのです。ブルーナさんの描く絵本は、どうして読む人を幸せにしてくれるのでしょうか。その秘密をあなたも一緒に発見してみませんか?
(text from NHK site)

NHK教育 45min×2 2002-04-27 / 05-04 videoHi8-120MP SP AFM Stereo
Copy from video8 tape (VD-042) by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo

> DR-1464にチャプター設定単独版あり





●新日曜美術館 「三宅一生」 〜「一枚の布」からの挑戦〜

NHK教育 45min 2000-05-21 video8-120MP SP PCM Stereo
Copy from video8 tape (VD-228) by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo









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