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●出社が楽しい経済学 season 1|第1回 「サンクコスト」

◎前編 「究極の選択!彼女と焼肉のコスト計算」・・・彼女から別れ話を切り出された小山内。これまで散々貢ぎ続けたのだから今さら別れたく ないとごねる。彼を励まそうと島課長は超高級焼肉店へと誘う。特別割引のきく会員カー ドを持つ島は入会金の元をとろうとこの焼肉店に半年間通い詰め状態だった・・・。 →サンクコスト(Sunk Cost)とは、一度投資したが、もう二度と返ってこない費用のこと。このサンクコストに縛られ合理的な判断を見失うことが個人や企業の活動ではよく見られる。貢ぎ続けた彼女への投資は明らかなサンクコスト。そこに愛がないのならキッパリと清算し新たな出会いを求めた方が合理的。さらに高級焼肉店の入会金もまたサンクコスト。元をとろうと無理に焼肉を食べ続けるのは愚の骨頂。体を壊して余計な医療費を払ったりしてしまうかもしれない。

◎後編 「推進か撤退か!新商品開発」・・・ゼニーの一室で行われる深刻な会議。新型シューズの開発を続けるか撤退するか決断を迫 られていた。それというのもライバルメーカーがより高機能な商品を発売し大ヒット。後 発のゼニーは勝ち目薄。それでも先輩社員の郷田はこれまでの投資や「会社のメンツ」を理 由に開発を進めようとする・・・。 →これもまさにサンクコストの呪縛。「投資した分を取り戻したい」という思いに加え、「自分たちの過ちを認めたくない」という見栄やメンツが、人をサンクコストに縛り付け、合理的な判断を見失わせる大きな要因になるのだ。

出演: 吉本佳生、劇団スーパー・エキセントリック・シアター
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吉本佳生(よしもと よしお)・・・経済学者、1963年三重県出身。名古屋市立大学経済学部卒業。大学や企業研修などで生活経済学、国際金融論、マクロ経済学、ミクロ経済学など講義、演習の経験をもつ。 主な著書に「スタバではグランデを買え!」「クルマは家電量販店で買え!」などがある。
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NHK教育 30min 2009-03-14(2009-01-10の再放送) Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo (MPEG-1)





●出社が楽しい経済学 season 1|第2回 「機会費用」

◎前編 「タクシー?バス? 激突!出張費論争」・・・同期から合コンの誘いに浮き立つ新入社員・小山内。そこへ突然、経理担当の下野から、出張費の精算の件で厳しい指摘が飛ぶ。路線バスがあるのにタクシーを利用したのは、明らかな経費の無駄だというのだ。田舎のためバスは1時間に1本で、時間の無駄を省くためにやむを得ずタクシーを、という小山内の主張はあえなく却下。自腹でタクシー代を払わされるはめに。落ち込む小山内そこに先輩社員たちから、「おごるから飲みに行こう」と声がかかる。「実りの少ない合コンより、タダ酒の方が得」と小山内はついていくが・・・。 →「機会費用」とは、いくつかの選択肢から一つを選ぶ時、選ばれなかった他の選択肢から得られたはずの満足や利益をコストとして捉える考え方。例えば、残業をサボって彼女とデートした場合。その時のデートには残業で得られたはずの給料もコストとしてかかっているということになる。小山内君の場合も、バスとタクシーのどちらが得かと考える前に、その時の自分の機会費用について考えるべき。小山内君が、1時間に何件も得意先を回り確実に成果をあげる社員なら、1時間あたりの機会費用はタクシー代よりも高い(タクシーに乗った方が得!)。逆に1時間では大した仕事ができない社員なら機会費用は安く、バスに乗って経費を節減した方が合理的。同じ様に機会費用を考えれば、合コンをドタキャンしてついていった飲み会もけっして「タダ酒」ではないことがわかるはず。

◎後編 「なぜ安い?居酒屋激安ランチの秘密」・・・昼どきのオフィス。みんなの代表で弁当を買いに行った静香の帰りを待つ間、雑談に興じる面々。話題の中心は、社長直属の「新規プロジェクト」。倉庫に打ち捨てられた状態の自転車を利用し宅配サービスを始めるというのだ。小山内と郷田はそんな事業にメリットがあるはずないと冷笑する。そこへ静香が、近所の居酒屋がもの凄い安さでランチを始めたという情報を持ち帰る。あまりの安さに疑問を感じ、「賞味期限切れの食材を使っているかも」と底の浅い冗談で笑いあうのだが・・・・。 →「機会費用」は人の行動だけに限られたものではない。ビジネスの場面では施設や道具など様々なモノの機会費用も検討すべき。居酒屋などでよく見る「激安ランチ」も機会費用をうまく活用しているケースだ。夜に営業する居酒屋。昼間はその設備や人が遊んでいることが多い。かといってそれを他のモノに転用するのも難しい。つまり、昼間の営業を始める時の設備や人の機会費用は「ゼロ」。後は材料費と光熱費、そしてわずかな利益を上乗せすることで激安ランチの出来上がり。しかもお昼は客の回転が早く、少ない利益でも充分儲けにつながる可能性も。それを考えるとゼニーの「自転車宅配サービス」もあながち無謀とはいえないのでは。
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●出社が楽しい経済学 season 1|第3回 「比較優位」

◎前編 「ボクの生きる道」・・・オフィスで落ち込む新人社員・小山内。 同じ新人でありながら、社長賞をとった優秀な同期と比べてのこと。全ての能力で同期にかなわない小山内、彼の生きる道はあるのか?  →全ての能力において同期の花形君に劣ると嘆く新人・小山内君。そんな彼を救うのが「比較優位」の考え方。例えば、2人で2つの仕事を分業する時、どちらも花形君のほうが得意であっても、機会費用(その仕事をすることで犠牲になる仕事)が小さい仕事に特化、分業することで全体の生産性が上がる。高い能力を持つ花形君であっても能力の低い小山内君とうまく協力することで生産性を高めることができるのだ。ポイントは誰でも何からの比較優位を持つということ。小山内君にも生きていく道はある。

◎後編 「万物は流転する」・・・ライバル社がレストラン事業から撤退したとの知らせ。ライバル社の状態が悪いのかと思いきや、必ずしもそうではないという。さらに、不思議なことに、ずっと小さな弁当事業は継続。ライバル社の真意はどこに?  →自らの強みのある事業にヒトやカネなどの経営資源を集中するというのが「選択と集中」と呼ばれる経営戦略。そんな中、ライバル社が現時点で強みがあるとは言えない小さな弁当事業を継続したのはなぜか? ポイントは「比較優位」はあくまで現時点の相対的なものであり、将来、変わる可能性があること。例えば、画期的な新商品や生産技術を開発することができれば、比較優位は変わるのだ。これは個人も同じ。自分がやりたい仕事に、いまは比較優位がなくても、努力を続けることで比較優位となることがあり得るのだ。
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●出社が楽しい経済学 season 1|第4回 「インセンティブ」 --->★ファイル不明のためDVDに収録できず

◎前編 「美人受付嬢の危険なワナ」・・・普段はだらしがない小山内と郷田が、とつぜん整った服装で出勤するようになった。きっかけは最近変わったばかりの美人受付嬢。彼女に少しでもよく見られたいという一心からの行動だという。しかしその裏には、「社員の身だしなみを正したい」という会社上層部の思惑があった。  →「インセンティブ」とは、人にある行動をとらせたり、それをやめさせたりするためのいわば「道具(アメとムチ)」のようなもの。「誘因」とも訳される。例えば一番分かりやすいのが「お金」。会社が給料のアップなどで社員のやる気を引き出そうとしているのはご存じの通り。そのほかにも、厳しい刑罰(罰金)が飲酒運転の抑止につながるなど、「罰則」もまたインセンティブになりうる。自主的に身だしなみに気を配っているつもりの小山内君たちも、会社側から受付嬢というインセンティブを使って操られていることは明らか。

◎後編 「家賃論争!大家さんは強欲か?」・・・会社から新たなプロジェクトの出店候補地として空き店舗を探すように言われ首をひねる郷田。というのも、店舗の売り上げによって家賃が変動する「歩合家賃」で、と条件を出されていたからだった。どう考えても家賃が一定の「固定家賃」の方が得だとという郷田に、小山内たちも「歩合家賃なんて大家が強欲すぎる!」と同調するのだが・・・。  →「インセンティブ」は、私たちが普段なにげなく接しているビジネスの営みのなかにも隠されていることが多い。例えば、小山内君たちが話題にしていた商業ビルの家賃の仕組みもその一つ。店舗の売り上げがあがれば、大家さんの家賃収入もあがるのが歩合家賃。ならば、大家さんには「テナントとして入る店を応援しよう」というインセンティブが働くはず。つまり、ビルにより多くの客が集まるよう、イベントを開催してみたりビルそのものをお洒落に改装したりといった行動が期待できる。会社の上層部が「歩合家賃の物件」にこだわる理由はそこにあるのだ。
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●出社が楽しい経済学 season 1|第5回 「モラルハザード」

◎前編 「人をサボらせないコツとは?」・・・小山内が担当するアンケートによる市場調査。ところが依頼したアルバイト君たちにやる気がなく、アンケートもほとんど集まらない状況が続いていた。見かねた郷田は、アルバイト君がやる気を出すために給料を「時給制」から回収枚数に応じて支払う「歩合制」にすればよいとアドバイスするのだが・・・。  →経済学では、「モラルハザード」を、道徳や倫理感の欠如ではなく、他人の行動を観察することができないことから起きる問題と考える。例えば、ある経営者が部下に仕事を依頼した時。その経営者が従業員の仕事ぶりをつぶさに観察できず、しかもその仕事の成果も客観的に評価するのが難しい場合、従業員は「努力せず最低限の給料をもらっていた方が合理的」と判断。サボるかもしれない。ではここで、郷田先輩が提案するいわゆる「成果主義」の給与システムが全ての問題を解決するかというと、それもまた微妙。「成果の大小」は必ずしも「努力」と一致しないからだ。にもかかわらず成果だけを見て相手を評価しようとすると、他人の努力の成果を自分の努力だとアピールするズルイ社員が得をして、一方の真面目な社員は嫌になって会社を辞めていくかもしれない・・・。モラルハザードとはこれほどまでに解決が難しい問題なのだ。

◎後編 「馴染みの取引先とのビミョーな関係」・・・会社で一人ため息をつく島課長。取引先からの納品にまたミスが見つかったのだという。 創業以来のつきあいで、きちっとした仕事で定評があったはずの取引先。しかし、最近は杜撰な仕事ぶりが気になると嘆く島。それでも、「長いつきあいもあることだし、これまで通りつつがなく付き合いを続ける方が・・・」とクレームを伝える気配すらないのだった。  →実際に老舗の料亭やメーカーで相次いだ食品偽装などの「モラルハザード」。これを未然に防ぐカギは、実は、常連である消費者(取引相手)の行動にもある。例えば老舗の看板を信じ、消費者が何も考えずにその店を利用し続けた場合。老舗には次第に「良い仕事をしよう」という気運が生まれにくくなる。良い商品を作っても、手を抜いて作っても、そのことは客に観察できず売り上げも変わらないからだ。ここでは消費者は老舗がやる気を維持するためのきっかけ(インセンティブ)を与えることが重要。例えば品質やサービスが落ちた場合、クレームを付けたり利用するのをやめる。これにより老舗には「良いモノを作り続けなかればならない」という緊張感が生まれ、結果的にその看板が守られるということに。そう考えると、島課長がとるべき行動もおのずと明らかになるはず。
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NHK教育 30min 2009-02-11(2009-02-07の再放送) Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo (MPEG-1)





●出社が楽しい経済学 season 1|第6回 「逆選択」

◎前編 「貧乏クジに気をつけろ!“必ず儲かる”投資話の危険度」・・・昼休み。熱心に携帯の画面を見つめる小山内。不審に思った郷田は、それが「出会い系サイト」と見破る。「社会勉強の一環」と弁解する小山内に郷田は、トラブルが多いから気をつけろと諭す。今度は、その郷田あてに「大学の先輩」と名乗る男から突然電話がかかってくる。投資アドバイザーと名乗るその男は「必ず儲かるから」と、東南アジアでのタラバガニの養殖事業への投資を誘う。それを聞いた郷田は俄然のり気になるのだが・・・。  →「逆選択」とは、正確な情報が人々に共有されないため、次第にひどい欠陥商品ばかりが市場に出回るようになること。例えばひと昔前のアメリカの中古車市場。ここには売り手と買い手の間に情報の格差(情報の非対象性)が存在した。つまり、売り手はエンジンの状態など車の品質をよく理解しているが、買い手は、車の外見以外、詳しい品質を知ることができない。悪意を持った売り手は、状態の悪い車をなるべく高く売ろうとするし、無知な買い手は疑心暗鬼になってどんなに良い車でも安く買い叩こうとする。こうした状態では、仮に良心的な売り手がいても、質の高い中古車を市場に出そうとはしなくなる。そして市場はどんどん衰退する・・・ということ。当初は普通の男女の出会いの場として始まったといわれる「出会い系サイト」も、まさに、逆選択が起きることで悪質な利用者ばかりが目立つようになってしまった典型的なケース。 また、郷田先輩が受けた怪しげな「儲け話」も、逆選択が起きているがゆえに誘う側は無差別に電話をかけてくる、ということも考えられるのだ。

◎後編 「学歴不問!衝撃の人事採用面接」・・・新入社員の採用面接の季節がやってきた。今年はなぜか若手の郷田と小山内も面接官として採用に当たることに。それというのも「より優秀で個性的な人材を発掘せよ」という社長のツルの一声がきっかけだった。しかも応募してくる人の学歴は「一切問わない」という条件まで提示していた。「どんな人たちがやって来るのか」「本当に優秀で個性的な人材は確保できるのか」・・・。期待と不安が入り交じるなか、面接会場に応募者たちが入って来た。  →「逆選択」を避けるため、売り手が買い手に対して、商品の質の高さを訴え、発信する情報を「シグナル」という。例えば、新品の家電製品などでみられる一定期間無料の「修理保証」。これは、もし仮にメーカーが大量に欠陥商品を売ってしまえば、それを全て無料保証しなければならず大損害を被ってしまう。つまり「無料保証」をうたうことは、メーカーが「自分たちが損をしないためにも質の高い商品しか売りません」というシグナルを発信していることになるのだ。「学歴」もまた、就職を希望する学生にとっては大切なシグナル。もちろん採用する企業も学歴だけで、その学生の持つ能力や人間性を100%読み解くのは不可能。しかし、少なくともそこからは、「厳しい受験戦争をコツコツ勉強することで乗り越えてきた」という生真面目さや努力型といった資質ぐらいは読みとることができる。企業がそれほどコストをかけず大まかな選別を行うには、やはり学歴は有効なシグナルといえるかもしれない。
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NHK教育 30min 2009-02-18(2009-02-14の再放送) Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo (MPEG-1)





●出社が楽しい経済学 season 1|第7回 「価格差別」

◎前編 「求む!サラリーマン割引」・・・オフィスでため息をつく小山内君。社会人になり、ランチで学割が受けられないことがショックだったのだ。給料をもらっているからとはいえ、自分よりもお金持ちに見える老夫婦がシニア割引をうけているのをみるとすっきりしない。さらに、ファーストフード店では、同じチェーン店なのに地元よりも値段が高いことが判明。納得いかない小山内君。東京のサラリーマンに割引はないのか!?  →「価格差別」とは、高く買ってくれる人には高く、安くしなければ買わない人には安く売る、企業の戦略。そこで、企業は、都会と地方、あるいは学生・シニア・サラリーマンなどのグループに分けて価格を変えることがある。これを「グループ別の価格差別」と言う。企業は、グループごとに価格に敏感かどうかを判断しているのだ。東京のサラリーマンの場合、忙しいため、価格に敏感になり得ないと考えられる。そのため、企業にすれば割引を行う必要がない。これがサラリーマン割引がない理由である。

◎後編 「クーポン券がちっぽけな理由」・・・携帯電話の料金プランを変更しようかと考えながら、面倒だと投げ出す小山内君。その横で、郷田先輩は赤字続きのスーパーの再建案を検討中。そのアイデアとは・・・ずばり、「クーポン券」。それを聞いた小山内君は、持ち歩かない、店にしてもコストがかかるだけ損、それなら値引きのほうがいいと主張する。はたして、クーポン券には何も意味がないのだろうか。  →企業からみれば、手間を惜しまず、クーポン券を利用する人は「価格に敏感な人」、手間を惜しんでクーポン券を利用しない人は「価格に鈍感な人」と考えられる。つまり、価格に敏感であるかどうか、企業がグループ分けするのではなく、消費者自らが分かれるのがポイント。これを「自己選択型の価格差別」と言う。いわば手間を惜しむか惜しまないかで見分ける巧妙な価格差別、携帯電話の複雑な料金プランもその一つと考えられる。また、時間とともに値下がりする映画のDVDソフトや、期間限定のバーゲンセールも同様の「自己選択型の価格差別」である。
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●出社が楽しい経済学 season 1|第8回 「裁定」

◎前編 「裁定はサイテー!?」・・・小山内君は、下野さんに頼まれていた中古DVDを100円で譲った。すると、下野さんはすぐに、2000円で欲しがっていた米俵さんに転売。それを見て納得がいかないのが小山内君、下野さんの行いはサイテーなのだろうか?  →「裁定」とは、同一時点で価格差がある時、安く買って高く売ること。いわば、確実に儲かる方法である。下野さんの行為はまさに裁定である。小山内君も米俵さんも、下野さんのおかげで、自分たちが売りたい価格と買いたい価格で取引できたのだから、裁定は全員の満足を高めている。裁定はサイテー(最低)な行いではない。「裁定」が働くと、価格差は縮小を続け、ついには同じになる。同じモノやサービスは同じ価格であることを、経済学では「一物一価の法則」と呼ぶが、その裏には裁定の働きがある。なお、異なる時点の価格差に期待する取引「投機」との違いには十分注意する必要がある。

◎後編 「同じお茶のペットボトル 値段が異なるのはなぜ?」・・・ライバル店の近くに出店すべきかどうかで悩む郷田先輩。そんな先輩に、小山内君がふともらした疑問は・・・同じお茶のペットボトルが、駅前のコンビニと郊外のスーパーで異なる値段で売られていること。それを聞いた郷田先輩は、新たなビジネスチャンスを見つけたと舞い上がる。郷田先輩の計画はうまくいくのか? そもそも、なぜ、同じお茶のペットボトルの値段が異なっているのか?  →「裁定」が働くと、同じモノは同じ価格になるはず。しかし、現実の世の中ではそうならないことがある。その理由が「取引コスト」。商品を運ぶ費用や時間、あるいは買いに行く手間などのコストである。取引コストもあわせて考えると、価格が同じになるところまで裁定は働かない。
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●出社が楽しい経済学 season 1|第9回 「囚人のジレンマ」

◎前編 「裏切りの誘惑」・・・花を贈るべきか、贈らざるべきか。憧れの女性の初舞台を前に思い悩む郷田先輩。実は彼には恋のライバルがいた。双子の兄。お互いに「花を贈るのはやめよう」と協定を結んだのだが、兄が協定を守るかどうか信用できないという。裏切るべきか、否か、郷田先輩の悩みは深い。 →「囚人のジレンマ」とは、個々にとって最良の選択が、全体にとって最良の選択とはならない状況のこと。郷田先輩にしてみれば、兄が協定を守り、花を贈らない場合、自ら協定を破って花を贈れば、女性の心をつかめるかもしれない。反対に、兄が協定を破り、花を贈る場合。協定を守っていては、兄だけが花を贈ることになり、女性の心を奪われてしまうかもしれない。協定を破って花を贈れば、女性の心を奪われることはない。しかし、花の代金は無駄になる。つまり、郷田先輩にしてみれば、兄が協定を守ろうと守るまいと、自らは協定を破って花を贈るのが得ということになる。しかし、これは兄にとっても同じこと。そこで二人は協定を破りあい、どちらも女性の心をつかめない一方、花代を失う分だけ、お互いが協定を守る時よりも不幸な結果に終わる。まさに「囚人のジレンマ」。

◎後編 「仁義なき戦い!? 弁当値下げ競争の行方」・・・南部デパートで新たに「花見弁当」を展開しようという小山内君。しかし、ライバル社も同じく花見弁当を展開するという話が舞い込む。このままいけば、値下げ競争勃発か・・・そんな中、ライバル社は小山内君に対し「末永いおつきあいのほどを」と告げた。ライバル社の真意はどこに? 小山内君たちのとるべき戦略とは? →1回限りの囚人のジレンマにおいては、お互い裏切りあうというのが答え。しかし、それが際限なく繰り返される場合(「繰り返し囚人のジレンマ」)であれば、話は別。裏切らずに協調する可能性が生まれる。 そして、その協調を実現するのに有効なのが「しっぺ返し戦略」。まずは協調でのぞみ、後は前回相手がとった行動をとるというもの。相手にしてみれば、裏切れば裏切り返されるので協調したほうが得ということになる。ライバル社の「末永いおつきあいのほどを」は、繰り返し囚人のジレンマであるとして、値下げをしない協調を誘っていると見ることもできる。ならば、まず「しっぺ返し戦略」でのぞむのが小山内君たちにとって有効な戦略である。
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●出社が楽しい経済学 season 1|第10回 「共有地の悲劇」

◎前編 「使いすぎにご注意!」・・・上司や先輩から様々な雑用を、次々と言いつけられる小山内君。精一杯の抗議をするものの、先輩たちにその声は届かない。小山内君は大丈夫なのか? →「共有地の悲劇」とは、利用に応じた費用負担を行わないためにおきる過剰利用がもたらす弊害。例えば、小山内君の場合、上司や先輩にしてみれば、小山内君に雑用を頼むのは無料。自分が遠慮しても、他の人が頼むのなら、遠慮するだけ損。そこで、我先にと雑用をお願いすることになる。しかし、一定以上の仕事が集中すれば、小山内君がそれをこなせなくなったり、壊れてしまったりするのは時間の問題。その結果、あてにしていた上司や先輩たち、みんなが困ることになる。まさに「共有地の悲劇」である。

◎後編 「早い者勝ちでいいのですか?」・・・オフィスがゴミや返品の商品であふれかえったゼニー事業部。あきれた課長の一言で、共有の物置スペースに片づけることに。ところが、その物置スペース、営業部も利用を考えているという。これは負けじと、必要のないものまで持ち込んで場所確保に走る小山内君と郷田先輩、本当にこれでいいのか? →地球温暖化などの環境問題も共有地の悲劇の一つ。放っておけば問題は解決せず、悪化する一方。そんな中、考えられる対策の中で、注目されているのが、環境を汚す行為に対してかける税金(環境税)と許可証。 税金(環境税)は、環境を汚す行為に対し税金をかけることで環境を汚す行為を減らそうというもの。許可証は、環境を汚す行為に一定の許可を与える一方、余った許可分を売買できるようにすることで、より効率的に対策を進められるようにしようというもの。いずれも、鍵はインセンティブにある。ゼニー社の共有の物置スペースも、このままでは、本当に必要な荷物が置けなくなるなど、「共有地の悲劇」が起きる可能性がある。なんらかの対策が必要だ。
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NHK教育 30min 2009-03-14 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo (MPEG-1)





●出社が楽しい経済学 season 1|第11回 「割引現在価値」

◎前編 「おカネと時間の微妙な関係」・・・新たな事業計画を考えた郷田先輩。その計画とは・・・2000万円投資して10年後に3000万円が返ってくるというもの。「10年で1000万円の利益、採算もばっちりだ」と悦に入る郷田先輩だが、本当に大丈夫か? →現在の1000万円と将来の1000万円は同じではない。その間に発生する金利があるからだ。将来の金額について、金利分を割り引いたものを「割引現在価値」という。郷田先輩の計画の場合、今の2000万円と10年後の3000万円を単純に比較していることが問題。10年後の3000万円を割引現在価値に直した上で、比較すべきなのだ。

◎後編 「見た目よりも“実質”が大事」・・・将来に備えて金融商品を検討中の小山内君が感心を持ったのが「元本確保型変額年金保険」。「元本確保」なら損することもなく安心だと、郷田先輩と二人ですっかりその気に。元本確保なら安心?本当に損することはない? →割引現在価値で考えれば、損することがないとは言えない。仮に、100万円支払って、37年後に元本100万円だけが返ってきた場合、本来、100万円預貯金にまわしていれば得られたはずの利息があるのだから、その分、損をしている。また、物価の影響にも注意する必要がある。将来、物価が上昇すると予想されるならば、その分を割り引いてやる必要がある。元本確保だからといって、安心できるとは限らない。
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NHK教育 30min 2009-03-21 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo (MPEG-1)





●出社が楽しい経済学 season 1|第12回 「ネットワーク外部性」

◎前編 「モテるためにはマネすべし」・・・合コンで全く相手にしてもらえなかった小山内君。気分を一新しようと、携帯電話を変えようかと思案中。それを見た郷田先輩、女性に人気の小山内君の同期、花形君と一緒にするのがいいとアドバイスする。「なんで花形なんかと!」と憤る小山内君だが・・・ →利用者が増えることでメリットが増すのが「ネットワーク外部性」。それゆえ、人気者はますます人気者になるという特徴がある。人気者の花形君に好意を寄せる女性たちの中には、花形君と手軽に話せるようにと同じ電話会社にしている女性たちも少なくないはず。とすれば、花形君と同じ電話会社にすれば、小山内君は、これまでよりも、気軽に電話をかけてもらいやすくなるというわけ。郷田先輩のアドバイスにも一理あるのだ。もっとも、それで小山内君がモテるようになるかどうかは別の話。

◎後編 「大ヒット商品を生む秘策!?」・・・最新のゲーム機が欲しい小山内君。広告を見ると、ソフトが1本無料でつくとあってびっくり。実質の値下げだが、どうやらこの会社、以前も最初は実質値下げをして、あとから値上げをするという販売を行っていたらしい。なぜか・・・「実は何も考えてなかったりして」と郷田先輩は言うが、本当にそうなのだろうか? →ネットワーク外部性が働く商品やサービスには、初期のわずかな差が、その後の決定的な差につながるという特徴がある。勝敗は、必ずしも機能の優劣で決まるわけではないということだ。(よく知られているのが、VHSとベータの例だ。)ゲーム機もネットワーク外部性が働く商品の一つ。そのため、企業は初期の時点で、少しでも多くの顧客を獲得することが大事となる。発売当初に値下げをする理由の1つはここにある。
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NHK教育 30min 2009-03-28 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Stereo (MPEG-1)







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