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●知るを楽しむ 歴史に好奇心 「日中2千年 漢字のつきあい」 加藤徹/柳家花緑・林家きく姫


「中華人民共和国」のうち「人民」と「共和国」は日本製の言葉である。私たちの祖先は漢字を日本語の一部とし、幕末から明治に西洋文明が入ってくると、洋語をまず漢語に翻訳して西洋文明を効率的に取り入れた。日本人が「もう一つの漢字王国を作った」歴史を本家中国とのやり取りを交えながら4回にわたって描く。
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1963年、東京都生まれ。明治大学助教授。東京大学文学部中国語中国文学科卒業、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。1990~91年、中国政府奨学金高級進修生として北京大学中文系に留学。広島大学総合科学部助教授を経て、現在は明治大学助教授(4月1日より准教授)、専攻は中国文学。『京劇』(中公新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。主な著書に『漢文力』『西太后』『漢文の素養』『貝と羊の中国人』などがある。

◎第1回 「初めは漢字なんか嫌いでした ~倭人 文字と出会う」
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かつて仁徳天皇陵とされた大山古墳の被葬者は分らない。墓碑銘がないからである。「金印」に見られるように漢字は紀元前後には日本に入っていたが、言霊思想を信じていた古代の日本人(倭人)は文字を「言霊を封じ込める魔法」として敬遠した。古代インド人が仏陀の姿を像に刻むのをためらったように、聖なるものを目に見える形にして表すことに違和感を持ったのである。そうした言霊思想から自由になり漢字を縦横に使い始めたのが、仏像を受け入れた蘇我氏と聖徳太子であった。太子の「十七条憲法」は内容もさることながら、それまで口頭でのやりとりだった政治を文書化したことに大きな意味を持つ。また太子は、それまで渡来人に頼っていた外交文書を自ら起草し「日出る処の天子」と自称した国書を中国の皇帝に送った。中華文明のエッセンス・漢字と遭遇した古代の日本人が長い逡巡の末、その漢字を使って自己主張を始めるまでを描く。

◎第2回 「日本で一番エライ人は誰 ~漢文と“国格”」
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現代の会社の肩書きでいうと中国の「皇帝」は言わば本社の社長で、「王」は地方の支店長である。歴代の中国の王朝から見ると、日本の元首の呼び名は「日本国王」でなくてはならなかった。ところが聖徳太子以来、日本の政権担当者で自らを「日本国王」と名乗って中国皇帝に臣従したのは足利義満ただ一人。「天子」「天皇」や「日輪の子」(豊臣秀吉)といった中華思想とは相容れない独自の称号が相次いだ。日本の支配者は「中国と対等」というスタンスを守るために「王」の呼称を拒み続けたのである。聖徳太子が小野妹子に持たせた国書、秀吉の朝鮮出兵の際、講和を急ぐ余りに小西行長が偽造した国書、明治の日清修好条規など「日本で一番エライ人」の呼び名が大問題になったケースを見ながら、2千年に及ぶ日中メンツ合戦を描く。

◎第3回 「“まんじゅうこわい”の謎 ~江戸の漢文力」
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落語の「まんじゅうこわい」は中国の笑話集「笑府」が原典である。江戸時代、それまで学者の家の秘伝だった漢文訓読の技術が広く公開され、漢籍は本家中国より日本での出版点数が多くなった。江戸の火消しのお兄さんまで「水滸伝」に熱中し、登場人物を真似た彫り物が流行した。「笑府」のように中国では失われてしまった書物・知識が日本で生き続け、新たな文化につながるという現象も起こってくる。アヘン戦争に清が敗れた後、中国人が書いた警世の書「海国図誌」は中国では無視されたが、日本で佐久間象山・吉田松陰以下多くの読者を得て、激動の時代の起爆剤となった。庶民レベルまで浸透した「江戸の漢文力」が我々に残してくれた豊かな遺産を紹介する。

◎第4回 「“中華人民共和国”の3分の2 ~日本漢語の形成」
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「人民」「共和国」「憲法」「権利」「義務」「金融」「投資」「経済」・・、いずれも明治の日本人が創った漢語である。幕末から明治、西洋の文物を受け容れるにあたって日本人は、まず漢語に訳した。漢字の持つ豊かな造語力を駆使したのである。福沢諭吉も西周もオランダ語や英語の前に漢文に親しみ、中江兆民はルソーの「民約論」を訳すため、わざわざ漢学塾に入り直した。日本の素早い近代化は、下級武士など社会の中間層まで幅広く浸透していた漢文の素養の賜物と言ってよい。やがて日本漢語は中国人留学生などを通じて大陸に流入し、現代中国語の一部となっていった。日本漢語が作られた経緯をたどると共に、「革命」などの漢語が中国史に与えた意外な影響も紹介する。
(original text from NHK site)

第1回=2007-04-12初回放送分の録画|受信障害で映像全体に軽いノイズあり
第2~4回=2007-06-22~総合でアンコール放送された分|ノイズなし
NHK教育 25min×4 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 解説副音声 (MPEG-1)

> 各回チャプター付加/主音声は音量を200%化、解説副音声は100%のまま
> 未整理映像ファイル「知るを楽しむ」-2007前半ページに、録画状態の詳細を残してある



> 2018年10月のダビング依頼により新規作成したDVD





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