VD-187

SP
45min
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NHK教育



ETV 未来への教室


●「アラン・ケイ」 〜人間とコンピューターの明日〜

今回の特別授業の先生は、パソコンの生みの親と言われるコンピューター科学者のアラン・ケイ博士(61歳)です。
アランさんはいまNPOを設立し、「スクイーク」というソフトの開発に取り組んでいます。
「スクイーク」は、子どもでも簡単にプログラミングできるソフトです。
将来、ウィンドウズやマッキントッシュに代わることをめざしています。
特別授業を受けたのは、ロサンゼルスの小学6年生20人。
アランさんは、それまで体験したことのないコンピューターの魅力と可能性について子どもたちに触れさせたい、と考えました。
そこで「スクイーク」を使って、各自が興味のあるテーマを選んでプログラム作りに挑戦することになりました。
まずアランさんは、「アルト」という30年前に世界で初めて開発されたパーソナル・コンピューターを子どもたちに見せました。
コンピューターは、いまやオフィスや家庭で広く普及していますが、当時は大型で操作の難しいものが全盛でした。
コンピューターを小型で使いやすくしてもっと人間に近づけたいと考えたアランさんが開発を実現させたのです。

"The best way to predict the future is to invent it." --Alan Kay

「未来を予測する一番の方法は、未来を発明してしまうことだ」とアランさんは語りかけました。
子どもたちは、アランさんからアドバイスをもらいながら、思い思いの世界をプログラミングしていきました。
特別授業の最後、アランさんは「コンピューターはプログラミングして動かすことにより、あらゆるメディアの役割を果たすことができる。
現実世界ではあり得ない表現もできる。それは、今までのメディアを越えていくもの。
こうあったらいいなと思うコンピューターをみんなに考えていってもらいたい」と子どもたちにエールを送りました。

2002-04-06 STEREO


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ASCII.com 2001年10月26日

「“ダイナブック”の香りは受け継いでいる」――“パソコンの父”アラン・ケイ氏が来日

パーソナルコンピューターという概念を考えだし、理想のパソコンとして“Dynabook(ダイナブック)”を構想した
アラン・ケイ(Alan Curtis Kay)氏が25日、東京・麹町で講演し、また合同インタビューに応じた。

ケイ氏は、(財)デジタルコンテンツ協会の主催するセミナー“パーソナルコンピュータの革命は終わったのか?”で講演し、
パソコンやオブジェクト指向プログラミング、グーテンベルクの活版印刷の発明と比較したパソコンの位置付けなどを語った。
インタビューでケイ氏は、現在も子供向けのプログラミング言語『squeak(スクイーク)』を開発中であり、
「大人をはるかに凌ぐくらい、子供の頭脳が考えられる環境をsqueakで」提供することを目指し、
そのsqueakは「Dynabookの香りは受け継いでいる」と語った。ケイ氏は、40年以上もDynabookという理想を追求している。

ケイ氏は、理想的なパソコンの形状について、以下のように語った。

「1960年代、私たちは3つの形状を考えた。まず、タブレットサイズにしてみたらどうかということ。これは画素数が問題になった。
100万画素程度で、タブレットサイズにきれいに表示できるかというと、それは難しい。
そこで、次に考えたのがヘッドマウント、頭につけるというものだった。これは60年代後半から考え始めた。
米マクダネル・ダグラス(McDonnell Douglas)社が開発した、瞳孔の動きを追尾して、そこに画像を作り出すというものは、
きちんと追尾するということが難しかった」

「3番目は、ニコラス・ネグロポンテ(Nicholas Negroponte)氏(MITメディアラボ初代会長)の考えた、
位置センサーを内蔵する腕時計型のコンピューターだ。人工衛星によって、世界中どこにいてもその位置を把握し、
音声認識などで、ウェブなどにもアクセスできる。そして、たとえば照明器具などを指差すと、位置センサーがそれを認識して、
照明が点く。これら3つの形態と、そのバリエーションを考えた」

「PDAや携帯電話などでは、ディスプレーの画素数の問題がある。おそらく、将来最も可能性があるのは、
単行本サイズよりももう少し大きいノートパソコンで、そこから電話を引き出して使うというような形になると思う。
携帯電話のような端末を、耳まで持っていきたいと思う人は、だんだん少なくなってくる。ディスプレーが付くと、なおさら難しくなる。
スピーカーを耳まで持って行くのにはどうすればいいのか。これが次の課題になるだろうが、それはインダストリアルデザインの問題だろう」

「マイクロソフトのタブレットPC、あれはなかなか良かったと思う。だが、キーボードがなかったのが致命的だった。
キーボードをなくすのは難しい。キーボードと、ディスプレーの価格がどこまで下がるかということ、
重さがどこまで軽くなるかということ、どういう形態になるかは、その3つがポイントになる」

また、現在のsqueakと、構想当初のDynabookとの違いについて、ケイ氏によると「付け加えたところもあり、割愛したところもある」。
Dynabookと違うことは、32bitのカラーグラフィックスや3Dグラフィックスを扱えることだという。


なお、squeakによる子供への教育については、「重要なことは学習環境にそれを置くこと、子供たちがどういうニーズを持っているのか、
どういうことを求めているのかを知らなければならない」とし、以下のように説明した。

「いい教育戦略は、子供たちのことをよく知ることによって、子供が知りたいことと子供が知るべきことが、同じだと導いていくことだ。
だが、子供にやる気を起こさせるのは難しい。子供用のコンピューターというのは難しい。結果があまり出ないのに、
資金を提供し続けるスポンサーが、よくいてくれたものだと思う」ケイ氏は、「本当の子供用のプログラムを作りたかった」と語った。

また、「1つ言いたいのは、教養のある、教育のある人とは、どういう人かということだ。本当に教養が身につけば、
「私は教養がある」とは言わなくなる。ある点を過ぎると、本当に世界のことを何も知らない、これから学ぶことが多すぎると、
分かってくる。そして、その一点を過ぎると、教育のある人は生涯学習者になる。ここまできたら教育終わり、
はい教養人というわけではない。教育とは1つの旅のようなものだ」と、生涯教育についての自説も披露した。


「本当の子供用のプログラムを作りたかった」
セミナーでケイ氏は、パソコンが一般に広まってから現在までを、「実に退屈な20年」と評した。
ケイ氏によると、「本当に革命が起こるのは、21世紀のいつか」であり、その時には自分も、このセミナーに参加している人も、
だれも生きていないだろうと述べた。

デジタルコンテンツ協会 (http://www.dcaj.or.jp/)
squeak.org (http://www.squeak.org/index.html)

(編集部 中西祥智)
Copyright (C) 1997-2002 ASCII Corporation.


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MacFan Net

Alan Kay氏、東京で講演
「パーソナルコンピュータの革命は終わったのか?」


「パーソナルコンピュータの父」と呼ばれ、「Apple Fellow(特別研究員)」として長く米Apple社にも籍をおいた
コンピュータ研究者Alan.C.Kay氏が来日し、「パーソナルコンピュータの革命は終わったのか?」というテーマで講演を行いました
(25日、東京・千代田区、主催・財団法人デジタルコンテンツ協会)。
その講演でAlan Kay氏は、パーソナルコンピュータのコンセプトとして現在でも多くの開発者に影響を与え続けている
「DynaBook」構想を振り返り、現時点におけるコンピュータ製品の進化に照らし合わせてみせました。
また、「アプリケーションは巨大化しすぎて退屈になっている」「現在のインターネットのブラウザには、
オーサリングやコラボレーション(共同作業)の機能が欠けている」と指摘し、
自身が30人のスタッフとのコラボレーションで作り上げた無償配布のソフトウェア「Squeak(スクイーク)」を披露しました。
このソフトウェアは、子供でもプログラムできるグラフィカルなインターフェイスをもち、
3DCGやムービーなどの各種のメディアが表現できる斬新なものでした。

Kay氏は、「パーソナルコンピュータの革命は終わってなどいない。始まったばかりだ。
私たちがDynaBookへ進む途上としてPARC(米Xerox社のパロアルト研究所)で考えたものから変わっていない」と、
現在の開発状況に苦言を呈しました。


「Alan Kay」
http://ei.cs.vt.edu/~history/GASCH.KAY.HTML

財団法人 デジタルコンテンツ協会
http://www.dcaj.or.jp/

Copyright (C) 1999-2001
Mainichi Communications Inc.



●「クリスト&ジャンヌ=クロード」 〜とらわれない心で〜

旧ドイツ帝国国会議事堂(ライヒスターク)やパリのセーヌ川に架かる橋ポン・ヌフを丸ごと布で包むなど、
斬新で壮大な芸術を創造してきた芸術家、クリストさんとジャンヌ=クロードさん(共に66歳)が今回の特別授業の先生です。
授業を受けたのは、アメリカに移民して1年に満たない15〜16歳の9人の子どもたち。
ニューヨーク市マンハッタンのソーホー地区にあるクリストさんのスタジオで、授業が始まりました。
作品の発想をどのように生み出し、壮大な構想をどのようにして実現させるのか。
作品を発表するまでの苦労や作品に込めた思いなど、子どもたちの質問に答える形で授業が進みました。
二人の話に触発された子どもたちは、三つのグループに分かれて作品を作ることにしました。
テーマは、半年前の9月11日に起こった同時多発テロ事件です。
作品の材料を見つけるために画材店や雑貨店を回りながら、子どもたちはアイディアを膨らませていきました。
3日後、子どもたちの通うハイスクールで、作品の発表会が行われました。
子どもたちの力作を前に、クリストさんとジャンヌ=クロードさんは、芸術家の心を伝えました。
「作品に意味を持たせすぎてはいけない。大切なのは無駄がなく単純なこと。
とても難しいけれど、ものごとの本質だけを取り出すのです。」


2002-04-13 STEREO


video8-120MP


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